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kubeadmを使用した高可用性クラスターの作成

このページでは、kubeadmを使用して、高可用性クラスターを作成する、2つの異なるアプローチを説明します:

  • 積層コントロールプレーンノードを使う方法。こちらのアプローチは、必要なインフラストラクチャーが少ないです。etcdのメンバーと、コントロールプレーンノードは同じ場所に置かれます。
  • 外部のetcdクラスターを使う方法。こちらのアプローチには、より多くのインフラストラクチャーが必要です。コントロールプレーンノードと、etcdのメンバーは分離されます。

先へ進む前に、どちらのアプローチがアプリケーションの要件と、環境に適合するか、慎重に検討してください。こちらの比較が、それぞれの利点/欠点について概説しています。

高可用性クラスターの作成で問題が発生した場合は、kueadmのissue trackerでフィードバックを提供してください。

高可用性クラスターのアップグレードも参照してください。

注意: このページはクラウド上でクラスターを構築することには対応していません。ここで説明されているどちらのアプローチも、クラウド上で、LoadBalancerタイプのServiceオブジェクトや、動的なPersistentVolumeを利用して動かすことはできません。

始める前に

どちらの方法でも、以下のインフラストラクチャーが必要です:

  • master用に、kubeadmの最小要件を満たす3台のマシン
  • worker用に、kubeadmの最小要件を満たす3台のマシン
  • クラスター内のすべてのマシン間がフルにネットワーク接続可能であること(パブリック、もしくはプライベートネットワーク)
  • すべてのマシンにおいて、sudo権限
  • あるデバイスから、システム内のすべてのノードに対しSSH接続できること
  • kubeadmkubeletがすべてのマシンにインストールされていること。 kubectlは任意です。

外部etcdクラスターには、以下も必要です:

  • etcdメンバー用に、追加で3台のマシン

両手順における最初のステップ

kube-apiserver用にロードバランサーを作成

備考: ロードバランサーには多くの設定項目があります。以下の例は、一選択肢に過ぎません。あなたのクラスター要件には、異なった設定が必要かもしれません。
  1. DNSで解決される名前で、kube-apiserver用ロードバランサーを作成する。

    • クラウド環境では、コントロールプレーンノードをTCPフォワーディングロードバランサーの後ろに置かなければなりません。このロードバランサーはターゲットリストに含まれる、すべての健全なコントロールプレーンノードにトラフィックを分配します。apiserverへのヘルスチェックはkube-apiserverがリッスンするポート(デフォルト値: :6443)に対する、TCPチェックです。

    • クラウド環境では、IPアドレスを直接使うことは推奨されません。

    • ロードバランサーは、apiserverポートで、全てのコントロールプレーンノードと通信できなければなりません。また、リスニングポートに対する流入トラフィックも許可されていなければなりません。

    • ロードバランサーのアドレスは、常にkubeadmのControlPlaneEndpointのアドレスと一致することを確認してください。

    • 詳細はOptions for Software Load Balancingをご覧ください。

  2. ロードバランサーに、最初のコントロールプレーンノードを追加し、接続をテストする:

    nc -v LOAD_BALANCER_IP PORT
    
    • apiserverはまだ動いていないので、接続の拒否は想定通りです。しかし、タイムアウトしたのであれば、ロードバランサーはコントロールプレーンノードと通信できなかったことを意味します。もし、タイムアウトが起きたら、コントロールプレーンノードと通信できるように、ロードバランサーを再設定してください。
  3. 残りのコントロールプレーンノードを、ロードバランサーのターゲットグループに追加します。

積層コントロールプレーンとetcdノード

最初のコントロールプレーンノードの手順

  1. 最初のコントロールプレーンノードを初期化します:

    sudo kubeadm init --control-plane-endpoint "LOAD_BALANCER_DNS:LOAD_BALANCER_PORT" --upload-certs
    
    • --kubernetes-versionフラグで使用するKubernetesのバージョンを設定できます。kubeadm、kubelet、kubectl、Kubernetesのバージョンを一致させることが推奨されます。
    • --control-plane-endpointフラグは、ロードバランサーのIPアドレスまたはDNS名と、ポートが設定される必要があります。
    • --upload-certsフラグは全てのコントロールプレーンノードで共有する必要がある証明書をクラスターにアップロードするために使用されます。代わりに、コントロールプレーンノード間で手動あるいは自動化ツールを使用して証明書をコピーしたい場合は、このフラグを削除し、以下の証明書の手動配布のセクションを参照してください。
    備考: kubeadm init--configフラグと--certificate-keyフラグは混在させることはできないため、kubeadm configurationを使用する場合はcertificateKeyフィールドを適切な場所に追加する必要があります(InitConfigurationJoinConfiguration: controlPlaneの配下)。
    備考: いくつかのCNIネットワークプラグインはPodのIPのCIDRの指定など追加の設定を必要としますが、必要としないプラグインもあります。CNIネットワークドキュメントを参照してください。PodにCIDRを設定するには、ClusterConfigurationnetworkingオブジェクトにpodSubnet: 192.168.0.0/16フィールドを設定してください。
    • このような出力がされます:
    ...
    You can now join any number of control-plane node by running the following command on each as a root:
        kubeadm join 192.168.0.200:6443 --token 9vr73a.a8uxyaju799qwdjv --discovery-token-ca-cert-hash sha256:7c2e69131a36ae2a042a339b33381c6d0d43887e2de83720eff5359e26aec866 --control-plane --certificate-key f8902e114ef118304e561c3ecd4d0b543adc226b7a07f675f56564185ffe0c07
        
    Please note that the certificate-key gives access to cluster sensitive data, keep it secret!
    As a safeguard, uploaded-certs will be deleted in two hours; If necessary, you can use kubeadm init phase upload-certs to reload certs afterward.
        
    Then you can join any number of worker nodes by running the following on each as root:
        kubeadm join 192.168.0.200:6443 --token 9vr73a.a8uxyaju799qwdjv --discovery-token-ca-cert-hash sha256:7c2e69131a36ae2a042a339b33381c6d0d43887e2de83720eff5359e26aec866
    
    • この出力をテキストファイルにコピーします。あとで、他のコントロールプレーンノードとワーカーノードをクラスターに参加させる際に必要です。

    • --upload-certsフラグをkubeadm initで使用すると、プライマリコントロールプレーンの証明書が暗号化されて、kubeadm-certs Secretにアップロードされます。

    • 証明書を再アップロードして新しい復号キーを生成するには、すでにクラスターに参加しているコントロールプレーンノードで次のコマンドを使用します:

    sudo kubeadm init phase upload-certs --upload-certs
    
    • また、後でjoinで使用できるように、init中にカスタムした--certificate-keyを指定することもできます。このようなキーを生成するには、次のコマンドを使用します:
    kubeadm alpha certs certificate-key
    
    備考: kubeadm-certsのSecretと復号キーは2時間で期限切れとなります。
    注意: コマンド出力に記載されているように、証明書キーはクラスターの機密データへのアクセスを提供します。秘密にしてください!
  2. 使用するCNIプラグインを適用します:
    こちらの手順に従いCNIプロバイダーをインストールします。該当する場合は、kubeadmの設定で指定されたPodのCIDRに対応していることを確認してください。

    Weave Netを使用する場合の例:

    kubectl apply -f "https://cloud.weave.works/k8s/net?k8s-version=$(kubectl version | base64 | tr -d '\n')"
    
  3. 以下のコマンドを入力し、コンポーネントのPodが起動するのを確認します:

    kubectl get pod -n kube-system -w
    

残りのコントロールプレーンノードの手順

備考: kubeadmバージョン1.15以降、複数のコントロールプレーンノードを並行してクラスターに参加させることができます。 このバージョンの前は、最初のノードの初期化が完了した後でのみ、新しいコントロールプレーンノードを順番にクラスターに参加させる必要があります。

追加のコントロールプレーンノード毎に、以下の手順を行います。

  1. kubeadm initを最初のノードで実行した際に取得したjoinコマンドを使って、新しく追加するコントロールプレーンノードでkubeadm joinを開始します。このようなコマンドになるはずです:

    sudo kubeadm join 192.168.0.200:6443 --token 9vr73a.a8uxyaju799qwdjv --discovery-token-ca-cert-hash sha256:7c2e69131a36ae2a042a339b33381c6d0d43887e2de83720eff5359e26aec866 --control-plane --certificate-key f8902e114ef118304e561c3ecd4d0b543adc226b7a07f675f56564185ffe0c07
    
    • --control-planeフラグによって、kubeadm joinの実行は新しいコントロールプレーンを作成します。
    • -certificate-key ...を指定したキーを使って、クラスターのkubeadm-certs Secretからダウンロードされたコントロールプレーンの証明書が復号されます。

外部のetcdノード

外部のetcdノードを使ったクラスターの設定は、積層etcdの場合と似ていますが、最初にetcdを設定し、kubeadmの設定ファイルにetcdの情報を渡す必要があります。

etcdクラスターの構築

  1. こちらの手順にしたがって、etcdクラスターを構築してください。

  2. こちらの手順にしたがって、SSHを構築してください。

  3. 以下のファイルをクラスター内の任意のetcdノードから最初のコントロールプレーンノードにコピーしてください:

    export CONTROL_PLANE="ubuntu@10.0.0.7"
    scp /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.crt "${CONTROL_PLANE}":
    scp /etc/kubernetes/pki/apiserver-etcd-client.crt "${CONTROL_PLANE}":
    scp /etc/kubernetes/pki/apiserver-etcd-client.key "${CONTROL_PLANE}":
    
    • CONTROL_PLANEの値を、最初のコントロールプレーンノードのuser@hostで置き換えます。

最初のコントロールプレーンノードの構築

  1. 以下の内容で、kubeadm-config.yamlという名前の設定ファイルを作成します:

    apiVersion: kubeadm.k8s.io/v1beta2
    kind: ClusterConfiguration
    kubernetesVersion: stable
    controlPlaneEndpoint: "LOAD_BALANCER_DNS:LOAD_BALANCER_PORT"
    etcd:
        external:
            endpoints:
            - https://ETCD_0_IP:2379
            - https://ETCD_1_IP:2379
            - https://ETCD_2_IP:2379
            caFile: /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.crt
            certFile: /etc/kubernetes/pki/apiserver-etcd-client.crt
            keyFile: /etc/kubernetes/pki/apiserver-etcd-client.key
    
    備考: ここで、積層etcdと外部etcdの違いは、外部etcdの構成ではetcdexternalオブジェクトにetcdのエンドポイントが記述された設定ファイルが必要です。積層etcdトポロジーの場合、これは自動で管理されます。
    • テンプレート内の以下の変数を、クラスターに合わせて適切な値に置き換えます:

      • LOAD_BALANCER_DNS
      • LOAD_BALANCER_PORT
      • ETCD_0_IP
      • ETCD_1_IP
      • ETCD_2_IP

以下の手順は、積層etcdの構築と同様です。

  1. sudo kubeadm init --config kubeadm-config.yaml --upload-certsをこのノードで実行します。

  2. 表示されたjoinコマンドを、あとで使うためにテキストファイルに書き込みます。

  3. 使用するCNIプラグインを適用します。以下はWeave CNIの場合です:

    kubectl apply -f "https://cloud.weave.works/k8s/net?k8s-version=$(kubectl version | base64 | tr -d '\n')"
    

残りのコントロールプレーンノードの手順

手順は、積層etcd構築の場合と同じです:

  • 最初のコントロールプレーンノードが完全に初期化されているのを確認します。
  • テキストファイルに保存したjoinコマンドを使って、それぞれのコントロールプレーンノードをクラスターへ参加させます。コントロールプレーンノードは1台ずつクラスターへ参加させるのを推奨します。
  • --certificate-keyで指定する復号キーは、デフォルトで2時間で期限切れになることを忘れないでください。

コントロールプレーン起動後の共通タスク

workerのインストール

kubeadm initコマンドから返されたコマンドを利用して、workerノードをクラスターに参加させることが可能です。

sudo kubeadm join 192.168.0.200:6443 --token 9vr73a.a8uxyaju799qwdjv --discovery-token-ca-cert-hash sha256:7c2e69131a36ae2a042a339b33381c6d0d43887e2de83720eff5359e26aec866

証明書の手動配布

--upload-certsフラグを指定してkubeadm initを実行しない場合、プライマリコントロールプレーンノードから他のコントロールプレーンノードへ証明書を手動でコピーする必要があります。

コピーを行うには多くの方法があります。次の例ではsshscpを使用しています。

1台のマシンから全てのノードをコントロールしたいのであれば、SSHが必要です。

  1. システム内の全ての他のノードにアクセスできるメインデバイスで、ssh-agentを有効にします

    eval $(ssh-agent)
    
  2. SSHの秘密鍵を、セッションに追加します:

    ssh-add ~/.ssh/path_to_private_key
    
  3. 正常に接続できることを確認するために、ノード間でSSHします。

    • ノードにSSHする際は、必ず-Aフラグをつけます:

      ssh -A 10.0.0.7
      
    • ノードでsudoするときは、SSHフォワーディングが動くように、環境変数を引き継ぎます:

      sudo -E -s
      
  4. 全てのノードでSSHを設定したら、kubeadm initを実行した後、最初のコントロールノードプレーンノードで次のスクリプトを実行します。このスクリプトは、最初のコントロールプレーンノードから残りのコントロールプレーンノードへ証明書ファイルをコピーします:

    次の例の、CONTROL_PLANE_IPSを他のコントロールプレーンノードのIPアドレスに置き換えます。

    USER=ubuntu # 環境に合わせる
    CONTROL_PLANE_IPS="10.0.0.7 10.0.0.8"
    for host in ${CONTROL_PLANE_IPS}; do
        scp /etc/kubernetes/pki/ca.crt "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/ca.key "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/sa.key "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/sa.pub "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/front-proxy-ca.crt "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/front-proxy-ca.key "${USER}"@$host:
        scp /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.crt "${USER}"@$host:etcd-ca.crt
        # 外部のetcdノード使用時はこちらのコマンドを実行
        scp /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.key "${USER}"@$host:etcd-ca.key
    done
    
    注意: 上のリストにある証明書だけをコピーしてください。kubeadmが、参加するコントロールプレーンノード用に、残りの証明書と必要なSANの生成を行います。間違って全ての証明書をコピーしてしまったら、必要なSANがないため、追加ノードの作成は失敗するかもしれません。
  5. 次に、クラスターに参加させる残りの各コントロールプレーンノードでkubeadm joinを実行する前に次のスクリプトを実行する必要があります。このスクリプトは、前の手順でコピーした証明書をホームディレクトリから/etc/kubernetes/pkiへ移動します:

    USER=ubuntu # 環境に合わせる
    mkdir -p /etc/kubernetes/pki/etcd
    mv /home/${USER}/ca.crt /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/ca.key /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/sa.pub /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/sa.key /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/front-proxy-ca.crt /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/front-proxy-ca.key /etc/kubernetes/pki/
    mv /home/${USER}/etcd-ca.crt /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.crt
    # 外部のetcdノード使用時はこちらのコマンドを実行
    mv /home/${USER}/etcd-ca.key /etc/kubernetes/pki/etcd/ca.key
    
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